第六章
「どけ!」
怒気を含んだ声に振り向く。
即座に理解した。シラヌイとモウカが攻撃を中断してそれぞれ左右に割れたその先で紫色の光をぼんやりと灯した狙杖を構えていたのはブラピ。
と。金色の光が縦に大きく円を描いたかと思うと解読困難な文字が綴られた魔方陣がブラピの目の前に浮かび上がった。
これは地上で杖を翳したパルテナの仕業だろう。そして推察される展開は鉛玉程度の小さな弾であれその魔方陣を通過すると瞬時に巨大なエネルギーに変換されそのまま打ち出されるというもの。
「今です!」
「分かってる!」
ブラピは鋭く見据えた。
「食らえ!」
程なく狙杖より打ち出された弾が魔方陣を過ぎると予測通り其れは巨大なエネルギー砲となり地上の双子へ突撃した。
言ってみれば至近距離。攻撃であれ防御であれ回避であれそのどれもこの短時間ともなれば間に合わないはず。
そう。
高を括っていた。
「……!」
次の瞬間ブラピは大きく目を開く。
「だからさぁ」
此方の攻撃が途絶え消失したその先には何食わぬ顔で。
「見えてるっつってるじゃん」