第一章
会場の電気がついたあの時攻撃体勢も取れず床に膝を付いていたロックマンの姿を見た。あれは、恐怖心による戦意喪失なのだろうか?
上手くいったとしてとんでもないことをしてくれたものだ。
「撃ったのはダークファルコなの?」
「目の前のグラスが割れてびっくりしたでしょう」
彼は確かにコピーでも夜目が利くようだ。
「会場の電気を落としたのは俺なんだぜぇ?」
ダークフォックスが誇らしげに言う。
「スピカは?」
「俺は指示を出していただけだ」
ようやく痛みが引いたのか、それでも頭を摩りながら溜め息を吐いて。
「式典の警備は気味が悪いくらい万全だったからな。司令塔自体も然り」
「ま、招待状があれば入場が許されるという点だけぬるかったが」
「じゃあダークウルフが会場の中にいたの?」
「合図を送る必要があったからな」
敵の作戦だというのにルーティは何となくほっとした。
「そっか……」
苦笑いがこぼれる。
「だからって首を絞めるのはよくないよ。本当に死ぬかと思ったんだから」