第六章
硝子の割れるかのような音が響いた。
砕け散ったバリアの破片はたちまち粒子となり空気中に溶けて消失。連携により無防備と化した二柱に向けられるのは、合間に剣を大きく引いていたシュルクによる強烈な薙ぎ払い。
「ここだあぁああああ!」
展開された青い光の刃が。
より一層輝きを増して視界を眩ませた。
「……な、」
だが。
「残念でした」
紅蓮の斬撃が既の所で一撃を弾いた。
虚空より攻撃に合わせて放ったのは兄の傍らでにやりと口角を吊り上げる破壊神クレイジーハンド。此方が考えを巡らせるよりも早く左目に紅の光が迸ったかと思うと次の瞬間、肉眼では捉えられない力で数メートル先へ弾き飛ばされて。
「見えてるよ」
クレイジーは向かって後方頭上より差す影の主に振り返らないまま言った。
刹那、同じ形の斬撃がミカゲの振りかざした水の刃を弾く。次の一撃を頂くより早く虚空を蹴って後方へ退避。
直後に降り注いだのは光線弾の雨。上空よりそれぞれ二丁の光線銃を向け奇襲を仕掛けるシラヌイとモウカだったが光線弾はことごとく見えない壁に阻まれて。
「どうなっておるんだ!」
「流石は化け物といったところじゃな」
双方共に苦渋の色が浮かぶ。