第六章
「……!」
遮るために差し出された後ろ手がほんの数秒の間に合図を繰り出した。
「言ってやるな、クレイジー」
三。
「あんなのでも部下は上手く嵌められてしまったわけだしな」
二。
「申し訳ございません」
「謝る事があるか」
一。
「元はと言えばお前たちが」
次の瞬間だった。
双子軍師が広げた魔道書のページがばたばたと音を立て捲れたかと思うと文字の羅列の上を金色の閃光が走り、そして。手のひらを翳したが刹那激しい雷が轟音と共に放たれたのだ。
地の表面を抉り、砂煙を巻き上げながら突き進んだそれはその先で言葉を交わしていたマスターとクレイジーへ向かって歪にうねりながら突撃する。
が。
「……!」
寸前で薄水色のバリアが張られて直撃を阻んだ。それにより四方八方へ散らばる雷をスピカは後方から呆然と見つめて。
と。雷が途切れた次の瞬間。