第六章
「……で」
髪を揺らして緋色の灯を怪しくともした瞳がゆっくりと此方を振り返った。
「お前たちが正義部隊?」
その瞬間。殺気とはまた異なるびりびりとした刺激を肌に感じ取って。
「なぁんか弱そー」
くすくすと笑うその人には恐らくのことそのつもりもないだろうが。
「た、隊長、」
一転してこの有り様だ。優位に立っていたのが彼ら双子の登場によりすっかり怖気づいてしまった隊員の気を鎮めるべくロックマンは正面を向いたまま後ろ手を差し出して遮る。……考えるんだ。
目で見て分かるように数は勝っている。けれどそれだけで首を討ち取れるような相手では断じて無い。
真っ向から向かったとして、息つく間にどれだけの数を削られてしまうだろう。はたまた此方が機能するより先に。
考えろ。
何が最善だと思う?
自分たちが今現在背を向けているその先には小さな町がある。彼らの目的は町を襲うことで応援要請を誘い、本命となる近傍の王国の防衛態勢を崩してその隙に攻め入ること。
……なら。
ここで引くのは得策ではない。