第六章
先程の攻撃を遮断したあの赤黒い斬撃は彼によるものだったのだろう。
破壊神クレイジーハンド。その肩書きが示す通り彼の能力の最大の特徴は加減をしないのであれば制限なく加えてこの世界に限らずそれこそ万物が圏内にあたる底知れぬ恐ろしい破壊の力にある。
恐らく。双子軍師の魔方陣が消え失せたのも彼の能力の働きによるもの。
そして化け物とも言うべき彼の兄である創造神マスターハンド。ひとたび右手を翳したならば創造の神たる力をもって万物を生成し支配する圧倒的な存在。
銀河を統べる神なれど味方にあらず。
……彼らは。
世界を創り世界を壊す。
全ては。
互いの理想とする幸せな世界のために。
人々の捧げた小さな祈りに優しく微笑みかけて応えてくれるだけの聖なる存在であればどれだけ良かったか。
慈しむ心はあるのだろうが多くの場合此方側には向けられない。それでも彼らの狂い果てた意志を尊重して過剰信仰する連中もいるが正気の沙汰ではない。
邪な神とでも呼ぶべきだ。
その意に一度でも反したならば。
彼らは。
……手段を選ばないのだから。