第六章
ざわざわ。ざわざわ。
何処からともなく吹く生ぬるいそよ風に煽られて草木が不穏な音を立てる。
「――部下の窮地に駆けつけるなんて」
愉しげな声は。
「慈悲深い上司だと思わない?」
虚空より。
刹那。赤黒い斬撃が乱雑に舞って大きく虚空を切り裂いた。そうして開かれた先には赤紫色の渦巻く世界を覗かせて。
程なく現す。
黒い影は互いの手を結んでゆっくりと。
地上へ。
「僕たちが来るなんて驚いた?」
かくんと首を傾ける。
口元に薄く笑みを浮かべるその正体は。
新世界創造計画を企てる悪なる敵対組織亜空軍が主将。創造神マスターハンドと破壊神クレイジーハンド――!
「っ……」
こんなところで。このタイミングで。
彼らと巡り合うなんて。
「最初から見ていやがったな」
スピカの不平不満を端耳にロックマンは密かに眉を寄せながら集団の後方で鞘に手を添えて待機するルキナを見遣る。
「そんな顔しないでよ」
クレイジーは小さく笑って、
「ちゃんと助けてあげたんだからさ」