第六章
◆第六章『似たもの同士ってわけだ』
「はあっ、はあっ」
――森林を駆ける六つの黒い影。
息を大きく弾ませて追っ手を撹乱させるべく木から木へ時には茂みへ散っては合流を繰り返し逃亡を図るがどうやら簡単には見逃してくれそうもない。
「……リーダー!」
痺れを切らした男が叫ぶ。
「ここは俺たちが引きつけます!」
少年はくっと奥歯を噛み締める。
「だからその隙に」
「うるせえ!」
阻むようにして声を荒げる。
「ごちゃごちゃ言ってる暇があったら」
「っ、上から来ますよ!」
影差す方角をちらっと見上げて舌打ちをこぼし上空からの奇襲を左右に分かれて回避する。大剣による一撃は地面を抉り砂煙を巻き起こしたが感心している間もなく地面を蹴り退避する。
……迂闊だった。難は無いだろうと高を括って少人数で編成を組んだのがこうも早く裏目に出てしまうとは。
第四正義部隊『フォーエス部隊』。
作戦開始地点からの第一波の襲撃による負傷と手負いの新人を抱えたこの少人数部隊で太刀打ち出来るはずがない。
それも。
あちらは総員編成ときたもんだ。
……分が悪いにも程がある!
「リーダー!」
森林の切れ目を見た。嫌な予感もするが形振り構ってもいられない。
「……このまま抜けるぞ!」