第五章
そうして見上げる彼の目も今度ばかりは冷たく見据えるばかりで。
「ルーティを殺しに来たんでしょ」
続け様、
「ネタは上がってるんだから。悪いけど誤魔化せないよ」
さあっと風が吹き抜ける。
「……情報源は」
「気に食わないというのであれば喜んでお相手しましょう」
いつの間に。一切の逃げ場もない状況にミカゲは密かに目を細める。
「……絶望の未来」
追い打ちをかけるようにしてカービィはぽつりと呟く。
「この世界を滅ぼすその未来であんた達フォーエス部隊は壊滅状態になった」
きっと睨みつけて。
「でもそれは亜空軍の仕業だろ」
風に揺られ草木がざわざわと。
「現にあいつらも宣戦布告して既にその活動を始めてる。対する僕たちのすることといえば国の防衛と侵攻の阻止」
闇に浮かぶ黒いシルエットは一際目立つ緋色の瞳でじっと見下ろしていて。
「この際だから僕たち亜空軍の奴らとプライベートの関わり合いがあったことは認めるよ。でも今度の計画について何の関与もしていない。それなのにどうしてルーティだけを殺す必要があるのさ」
依然として黙ったまま。
「理由がないのに納得はできない。僕の言いたいことくらい分かるだろ」
苛立ちが募る。
「それともただの“人殺し”に成り下がりたいわけ、あんた達は!」