第五章
淡く紺青と深紅の光を瞳に灯して。
浮かべた笑みを深める。
「始めようか」
新世界創造計画を。
夜が訪れた。
それは紺碧の空に星々が宝石のように散りばめられた満月の美しい静かな夜。
まるで。これから世界が双子の神様率いる悪の軍団の策略に呑み込まれていくだなんて微塵も知らないかのようで。
それとも今ある平和をこの時だけと噛み締める余裕を与えているのか。
真偽の程は定かではない。
「お勤めご苦労様」
高い木の枝に留まっていたのが星の光に当てられたのか声をかけられ驚いた。
「仕事が捗りますねぇ」
この声は。
「用件でしたら中の方で窺いましょう」
金色の髪を揺らして見上げる。
「……ミカゲさん」
満月をバックにゆっくりと黒い影が立ち上がる。紺色の忍び装束に風に揺られる赤いマフラーが特徴的なその正体は。
第四正義部隊『フォーエス部隊』所属。
闇夜に忍ぶ暗殺者――ミカゲ。
「仮にも正義の味方がそんなことしちゃってていいのかなぁ」
からかうように言うのは今回の行動を先読んでリンクと張っていたカービィ。
「……とぼけても無駄だからね」