程なく聞こえてきた僅かな期待に反した煩わしい音声に小さく舌を打って携帯の画面を睨みつける。


……なんだよ。話し中って。


ほんの数分前に遡り場面は変わってレイアーゼ中央司令塔内部、撮影スタジオ。

先程不機嫌そうに舌を打っていたのは亜空軍所属偽物集団ダークシャドウ率いるリーダーを担う少年のスピカだった。

内心萎えるものもあったが当然と言えば当然である。何せこの状況だ、彼らの立場であればまずは他国の安全確保の為に連絡を取り合い他の部隊と今後について何かしら作戦立てするのが普通だろう。

「あれぇ？」

からかう声が即座に。

「お友達は忙しかったのかなぁ」

と。次の瞬間。

「……！」

鳴り響いた着信音に目を開いた。電話を終えて掛け直したのか。

「っもしもし！」

それで飛びつくように電話に出る自分もどうかと思うが。

「る、」
「にぃに？」


……どくんと。

その声に胸の心臓が騒いだ。


「ピチカ……？」