第一章



……本当に、久しぶりだった。

普段なら何かと理由を付けて妹のピチカに会いに此処を訪れていたものだが最近は連絡も寄越さずさっぱり、こっちもこっちで幼馴染みとはいえ一応は対立関係にある相手に連絡をするというわけにもいかず、結果、音信不通となっていたのだ。

「ええっと」

とはいえ。こうして顔を突き合わせると抑えが利かない。

「どうしたの? 全然来なかったけど」

聞くと、スピカはあからさま答えづらそうに目を泳がせた。

「まっまあ、俺たちも色々あるんだよ」
「それよりどうでしたか? 式典は」

自然な流れで話を逸らされた。

「襲撃されて大変だったんだろぉ?」

ダークフォックスがにやにやといやらしい笑みを浮かべて聞く。

「わ、」
「笑い事じゃないんだぞ。ルーティが怪我をしたというのに」

フォックスが遮った。

「怪我をしたのか!?」
「たっ大した怪我じゃないよ……」
「そうですよ。割れたグラスで指を切っただけですから」

……ん?
 
 
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