第五章



どくん、どくん。

心臓の音が頭の奥にまで響いている。

「……未来」

ルーティは静かに言葉を紡ぐ。

「僕たちの未来で、何があったの?」


世界を滅ぼす絶望の未来。

空は荒れ狂い想像を絶する災いが人々を絶望に貶める。対抗する正義部隊の戦士たちは壊滅状態にまで追い込まれロックマン含む半数以上が無残にも殺されて。

希望を奪い去ったその首謀者は。


そして、僕たちは――


「すまない」

けれど程なくして返ってきた声は。

「君には答えられない」


……え。


「ロックマン」

訊ねる間もなく。

「では」

頼りの通話は一方的に。

……繰り返す無個性な不通音を暫く耳に留めてそれからルーティはそっと携帯を耳から離した。かけ直して問いただすという気にもなれず立ち尽くす。


君には、ってどういう意味だろう――


「ルーティ」

声。

「これからマスターコアに対抗する作戦会議を始めようと思う」

伏し目がちに。

「うん」

視線を落としたまま。

「すぐに行くよ」
 
 
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