第五章



「……そっか」

脳裏にちらつくのは父の背中。あの人もかつては仲間を、世界を守るために身を呈してマスターとクレイジーを打ち破りその手を引いたのだった。

あの時。父さんが叫ばなければ。

何も届かなかった。


簡単なことじゃないんだ。

……何かを守るということは。


「隊長」

電話の向こう側から彼とはまた別の声が聞こえた。

「上層部から司令が」
「分かった」

扉の開く音と閉まる音。どたばたと床を踏んで駆ける靴音が忙しさを物語る。

「……すまない。急用が入った」
「ううん、仕方ないよ」

ルーティは応えた。

「また後で連絡しよう」

そう言ってロックマンは耳に当てていた携帯を離そうとする。


「待って」


ルーティが呼び止めた。

「最後にひとつ」

ロックマンは再び携帯を耳に当てる。

「聞きたいことがあるんだけど」
 
 
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