第五章
「すまない」
次の瞬間。
ロックマンははっきりと言った。
「分からないんだ」
……え?
「未来を知ってるんだよね?」
ルーティは恐る恐る聞き返す。
「……君が言いたいのは恐らく此方が未来なにが起こるのか全て把握しているという話だろうが、違う。全てじゃない」
ゆっくりと濁さず言葉を紡ぐロックマンが電話越しにだけど苦渋に顔を歪ませているのが痛いほど伝わってくる。
「実際今回の事件だって分かっていれば阻止したさ」
やり場のない怒りも。
「しなかったんじゃない」
そして。
「出来なかったんだ」
拭い去れない悲しみも。
それが全て己自身ばかりではない事件について疑いをかけた自分にも向けられているのだと知って酷く胸が痛んだ。
「……ごめん」
ぽつりと。
「いや」
何を言ってるんだろう。
「……気にしないでくれ」
僕は何を期待しているんだろう――