第五章



妙な沈黙が訪れた。

「ロックマンは」

躊躇い。小さく息を呑み込み振り切ってルーティはゆっくりと口を開く。

「フォーエス部隊は未来、何が起こるか知ってるの?」


ちょっといいかな。


夜も更け込んだ頃話があると呼び出されマルスの口から明かされたのはフォーエス部隊の所属隊員であるルキナという人物が自身が恐れる絶望の未来からやって来ているという報告だった。


……絶望の未来。


初めはもちろん信じられなかった。

けれどその時同席したマリオやリンク、カービィでさえ暗い顔で同じ口を揃えるのでは信じる他なくて。それも推測ではなく、フォーエス部隊の管理下を務めているスピカの父親であるクレシスが明かしたというのだから信憑性も高まる。

「……何故、それを」

さすがのロックマンも電話の向こう側で酷く驚いているようだった。此方から話を振らなければ知らぬ存ぜぬを貫き通すつもりだったのか。

「じゃあ知ってるんだね」

ロックマンは再び口を閉ざす。

「今までのことも?」

トーナメント。デモ団体鎮静化作戦。

これから起こる未来を知っていたのなら事件は回避出来ていたはずだ。

「……ロックマン」

それをしなかったのは――
 
 
20/35ページ
スキ