第一章
ルーティはウルフをちらりと見た。
ぶっきらぼうに見えて、心配してくれてるんだよね。それはもちろん、皆も。
――この頃になると自分がひとつの部隊を統率するリーダーなんだという自覚も出てきた。けれどそれだけに、最善の判断を素早く下せなかったことが悔やまれる。誰も責め立てたりはしないだろうが、ひっそり反省をする程度には指揮をする者としての責任を感じるようにはなったのである。
それが成長か、はたまた単なる心配性かは知らないが。
「想われてますねぇ」
そう。想われているのだと自覚するのなら尚更。
自分を信じてくれている皆の気持ちに答えなきゃなって――
「っぎゃー!」
ルーティは思わず叫んだ。
「だああっ、うっせえなぁ」
聞き覚えのある声が鬱陶しそうに返す。
「相変わらず活きのいい声だなぁ?」
「ご無沙汰ですね。ルー君」
はたと気付いて目を丸くした。
「スピカ!」
跳ねっ毛の目立つ金色の髪につんとした吊り目。
幼馴染み且つ敵役。亜空軍所属、偽物集団『ダークシャドウ』の指揮を取る……
リーダーの、スピカ・リー。
「おう」
スピカはにっと笑った。
「久しぶり」