第五章
……ぞっとした。
「きゃははっ」
壁を隔てているのに。電波に乗せられて伝わるはずもないのに言い知れぬ殺気がほんの数秒息を詰まらせて。
「……制限時間は三十分」
マスターが口を開く。
「そんなには待ってあげないよ。この放送が終わったら電波も回復するだろうし連絡を回すのもいいんじゃない?」
そうして。
双子はくすくすと。
「それでは」
「いい返事を期待しているよ」
……正義のヒーローさん。
そうして映像はぶつんと切れた。ロイがテレビの電源を入れ直してみたが流れる映像は臨時ニュースばかり。
最後。声には出さず口だけ動かしてそう呟いた彼らは他の誰でもない自分たちにメッセージを向けていたのだろう。
「駄目ですね」
早速電話をかけようとしていたリンクが聞こえてきた音声に携帯を閉じる。
「通信が混雑しているようです」
「国民はパニックでしょうね」
不安そうに視線を落とし自身の胸に手を重ねるゼルダの横顔は曇っていた。自身がおさめているハイラル王国だってその対象なのだ、国民の為にも白煙をあげてくれているといいのだが……
「電波は回復してるってことだよな」
はっと顔を上げる。
「飛ばすぜフォックス!」
「……! ああ!」
その意図に気付いて頷くとフォックスは早速ゼルダの元へ駆けつけて。
「手紙を書いてくれ。俺たちが届ける」
王女の目に希望の光が宿った。
「はっ、はい!」