第五章
……そうか。
僕たちには分からないけど。
リム達は見たんだ。
実際に。
十五年前の。
天空大都市レイアーゼで――
「――覚えてる?」
びくっと肩を跳ねる。
「忘れるはずないよねぇ?」
嘲るように。
「沢山の人間が死んだんだもんねえ?」
……!
「あっはははははは!」
次にノイズが走って画面が切り替わると嘲り笑うクレイジーの姿があった。
「そうだよ。僕たちなんだよ。十五年前あの力で沢山の人間を殺したのは!」
くっと拳を握り締める。
「あはははは! 苦渋に歪むお前たちのカオが浮かぶようだよ!」
耳障りな笑い声を前に今だけは成す術もない。歯痒いばかりの状況に彼らの思惑通り顔を歪めて苛まれながら尚も画面に注目しているとクレイジーの隣で釣られてくすくすと笑っていたマスターが満足したのかようやく口を開いた。
「……まあ。そう怒れるな」
悠々と右手を左の脇腹に掛けつつ。
「お前たち人間が今度の計画に一切関わらない、邪魔立てしないと約束するのであれば此方からも手出しはしないさ」
「僕たちも本当はそんな酷いことしたくないんだよー?」
くすくすと笑って。
「そう。だから今回はお前たち人間に選択権を与えようと思う」