第五章
新世界……創造計画……
「誰かさんは覚えてるだろうけど」
薄ら笑いを妖しく浮かべて。
「十五年前天空大都市レイアーゼを半壊させたのも、一年前世界中を未知の軍団の侵攻により恐怖に陥れたのも僕たち」
紡ぐ。
「亜空軍なんだよ?」
まだ鮮明に。
慣れ親しんだ場所が、愛する故郷が亜空爆弾によって切り取られてしまったあの恐怖を。虚無感を覚えている。
空を劈く悲鳴も高らかな笑い声も。
立ちはだかる絶望を。
「……なんて言ったって分かんない人は分かんないか」
クレイジーは肩を竦める。
「過去に何があったかなんてのはお前たち人間にとってそれほど重大な話でもないだろう。重要なのは」
す、と冷たく視線を上げて。
「俺たちに逆らえばどうなるか」
ぎくりとした。
「あははっ」
クレイジーは笑う。
「何も今から見せしめに殺そうなんて真似はしないよ。こんなことをした後じゃ阻止されるのは目に見えてるしねえ」
ほっと胸を撫で下ろした、けど。
……違和感。
「ある映像を用意してある」
マスターはそう言ってカメラの外に目を向けて指示を出す。
「流してくれ」