第五章
一方は前髪を左に分けた薄い青色の髪の少年。右目に宿した青の灯は蒼海と同じ静かで冷たく。もう一方は対照的に前髪を右に分けた薄い赤色の髪の少年で左目に宿した赤の灯は燃ゆる炎より赤々と。
対照的に。それぞれ左腕と右腕が二の腕半ばから失われていて。
薄く笑み浮かべたその顔も。
忘れるはずがない。
『亜空軍』の総指揮者。創造神マスターハンドと破壊神クレイジーハンド――!
「何処から説明しよっか、兄さん」
「……そうだな」
画面の中の双子は緊張感の欠片もなく。
「まずこの放送がリアルタイム且つ全国放送であることは伝えておく」
「国内だけじゃないよ? この世界中の電波を乗っ取って放送してるんだよ」
けらけらと。
「で。僕たちがなんで電波を乗っ取ってこんなことをしているのか……それはこの世界に住むお前たち人間に重大発表があったからだよ」
クレイジーが言うと、
「いや……お前たち人間にとってこれは重大発表というより宣戦布告か」
マスターが続けてくすくすと笑み。
「世界を壊し、世界を創る」
ドクンと心臓が跳ねた。
「全ては」
「理想とする世界のため」
口々に。
「僕たちは」
そして高らかに。
「『新世界創造計画』を宣言します」