第一章
「会場を襲撃された!?」
――その声は食堂に大きく響き渡った。
「どうして連絡しなかったんだ!」
ひええ、と詰め寄るフォックスにルーティは身を引いた。
「いいじゃねえか。無事だったんだから」
「よくない!」
フォックスはダンッとテーブルを叩く。
「犯人を包囲できていたかもしれないんだぞ!」
「さすがにそれは盛り過ぎなのでは……」
傍で聞いていたゼルダが口を挟む。
「通じませんよ。ルーティのこととなると意地を張る男ですから」
リンクが呆れたように言った。
「地獄の底まで追い回しそうだな……」
「それでルーティ、怪我はっ」
ルーティはココアの注がれたカップをひと口飲んで。
「……ちょっとだけ」
「ちょっと!?」
「うるせえな、指を切っただけだろ」
ウルフが背凭れに腕を掛けて言う。
「びょ、病院に行った方が……」
「お前が行ってこい」