第五章
電波ジャック――初めて見たな、と内心冷静に捉えているだけの自分がいた。
「モニタールームも使えないんだよね」
「ハック元を逆探知というのも考えたんですけどね」
リンクはやれやれと息を吐く。
「カウントダウンは終わったのか?」
と。リビングに入ってきたのはウルフとファルコだった。どうも見かけないかと思えば外に出ていたらしい。
「あと二分。それよりどうだった?」
フォックスが訊くとファルコは首を横に振って、
「アーウィンもウルフェンも使えなくなってやがる……連中、俺たちの考えてることはお見通しってわけだな」
ルーティは話の最中に隣までやって来たウルフを見上げる。
「やっと起きたみたいだな。ねぼすけ」
「またすぐそうやって人のこと――」
ノイズの音。
「っ、始まった!」
誰かが声を上げると皆一斉にテレビの画面に注目した。程なく画面は移り変わり映像は白い背景を映し出す。
恐らくは何処かの撮影スタジオ――
「あれこれちゃんとカメラ映ってる?」
聞き覚えのある声。
「マイクの感度は良好のようだな」
「げっ、じゃあ声入ってるってこと?」
布擦れの音。
「前半カットしといてよね」
「生放送だぞ」
「うええ、かっこつかないなぁ」
呑気に言葉を交わしながら。
「長らくお待たせして申し訳ない」
画面手前より現れて此方を向いたのは。
「ごきげんよう。亜空軍です」