第五章
丸印の向かって左、内側から中心部にかけて短い横線を引いているのが亜空軍のシンボルマークだった。
テレビに映し出された映像にはその亜空軍のシンボルマークが画面の中央に目立つように大きく浮かび上がっている。
「他のチャンネルも同じなんだ」
そう言って、ロイが証明するべくリモコンを操作してみせた。確かに、チャンネルは回っているようだがそれにより映し出される映像は先程と変わらない。
「悪戯……?」
ルーティは呟く。
亜空軍といえばダークシャドウのリーダーであるスピカなら何か事情を知っているはず。ルーティは一度連絡を取ろうとポケットから携帯を取り出した、が。
「……!」
今度のは流石に驚いた。
開いた途端携帯の画面に映し出されたのがテレビと同じあの映像だったのだ。
「電波を送受信して機能する機器は全てこの映像が出ているようです」
「ネットに繋げて遊ぶゲーム機もアウトやったわ」
リンクとドンキーが口々に。
「私はパソコンで秘蔵画像の編集中急に画面が切り替わって……くっ、せっかく順調に作業が進んでいたというのに!」
「おい、何をしていた」
……この二人はさておき。
「じゃあ」
リンクがこくりと頷いて答える。
「どうやらこれは亜空軍による大規模な電波ジャックのようですね――」