第五章
首を傾げながら急ぎ足で歩くフォックスの後を追う。そうして程なく辿り着いたリビングの人口密度に驚いた。
「おにぃ!」
「どうしたの、皆集まって……」
目を丸くして訊ねる間に駆け寄ってきたピチカがぐいぐいと腕を引いて。
「大変なんだよ!」
子供たちが口々に。
「テレビが映らないんだ!」
……え?
「わ、」
何をそうくだらないことでこうも集まって慌てているのか。気分も優れないし、出来れば引き返したいところだったがそれも許してはくれず間を潜ってピチカに連れられるままテレビの前へ。
「ちょっ……」
好きな番組くらい近頃はネットで動画を上げてる人がいるのに、なんて根も葉もないことをぼんやりと考えながら。
ゆっくりと。顔を上げる。
「……え」
思わず小さく呟いた。
「ね?」
ピチカは不安そうに服の裾を掴む。
「朝からずっとこんな感じなの……」
そこには灰色の砂をぶちまけたかような映像が映し出されていた。
音は無く、だからこそ不気味で。
気になるのは映像の中央より下部でカウントを刻んでいる数字。その数字が確かならあと五分でカウントはゼロになる。
そして何より気になるのは。
「……あれ」
ルーティはぽつりと。
「亜空軍のマークだよね……」