第四章



……偶然かもしれない。

そんなことは分かっている。彼の本職上此方とは全く関係のない紛らわしい傷を受けただけの話という可能性だって。

でも。あまりにも。


タイミングが悪すぎて。


「……あいつら」

次に重く口を開いたのは。

「未来を知ってるんだよな」

一体いつどのタイミングでフォーエス部隊が絶望の未来とやらをルキナという人物から教えられたのかは分からない。分からない以上それを知ったのがつい最近という可能性もある。

「その未来って」
「やめなよ」

マリオが続けようとするその言葉を察してカービィが目元に影を差しながら薄く笑って留めた。けれど皆気付いている。

もう――

「ルーティを殺さなきゃいけない、ってことなのか……?」


どうして。

よりにもよって。


「……僕は信じるよ」

マルスがぽつりと呟いた。

「本当にルーティを殺そうとしているのだとして僕たちとの関係を保とうとする意図が分からない。ただ殺したいだけなら殺意を明確にするはずだ」

何せこれには何物にも変えられない自分たちの命がかかっているのだ。それこそ未来を変える為に一心不乱に無我夢中で殺しにかかったって。

けど。それが出来ないのは。

「僕は彼らの“迷い”に賭けたい」


ひと際強い風が吹いた。

その風は冷たく、何処か寂しく。


「この事はルーティにはまだ黙っておきましょう」

リンクが言った。

「彼は確かに一部隊を仕切る隊長ですが……まだ信じて前に進むので精一杯な、十七歳の子供ですから」


そして動き出す。

世界は。絶望の未来へ。
 
 
 
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