第四章
けれど。
「え」
柄の部分をしっかりと握ってしまった後ではどう叫んだところで時既に遅し。
「うわああああっ!?」
鐘の音。エレベーターのドアが開く。
小さく息をついて通路に出てきたのは黒髪に金色のメッシュが映える男。
……やれやれ。新しく就いた管理下ってこの役職はどうも部屋に引きこもりがちになってしまって嫌になる。気分転換になればと思って外の空気を吸いに出掛けたつもりがいつの間にやら行き交う人の群れに流される始末。
ったく。これだから大都会は……
「んやぁあーッ!?」
叫び声に肩を跳ねて立ち止まる。
「だあぁああぁああッ!」
……は? 振り向くと同時、一室の扉をぶち破って人影が飛び出してきた。
跳ねる閃光と赤い刀身に直ぐさまそれがシュルクの持つモナドの暴走によるものだと理解する。あれはシュルク以外には扱えない代物だってのに。
小さく舌打ちをこぼして構える。此方へ真っ直ぐ向かってくるそれを止めてやる術くらいは心得ていた。
「んわあぁああああ!?」