第四章
「なんだ、そんなことか」
ロックマンが事情を話すと男はすんなり扉を開けて招き入れた。
「何も見るものはないだろうがゆっくりしていってくれ」
――リュウ。トーナメントではその名前を見かけなかったが格闘家と名高い彼の名前を四人が知らないはずもなかった。
強豪を求めて世界中を放浪していると噂の彼がまさかこの正義部隊に留まっていたとは。目的は相変わらずだろうがこの部隊もなかなか有名人が揃っている。
「頼めばやってくれるかなぁ」
「何が?」
「竜巻旋風脚」
「怒られるぞ……」
さて。まだ入隊したばかりなのだろうか彼自身が発言していた通りこれといって気になるものは特にない。
入隊したばかりであれば正義部隊に何か事情があったとして彼にはまだ何ひとつ知らされていないかもしれないな……
「うわ、凄い筋肉」
「これも修行を積み重ねてきた結果だ」
マルスは振り返る。
「羨ましいか?」
暫く眺めているといつの間に隣に並んでいたマリオが小さく笑って聞いた。
「別にそういうのじゃないよ」
……まあ。
ないと言ったら嘘になるけど。
「俺もサインとか貰ってこようかな」
「僕たちも有名人だけどね」