第四章



静寂。片足でバランスを取りながら腕と背筋を伸ばして立ち木のポーズ。

「そのままの姿勢で」

声に従って。

「ゆっくり呼吸をしましょう……」


健やかな心身へ導く指導者の檻。


「その調子!」

どうしてこうなった。

「僕たち何しに来てたんだっけ……」
「さ、さあ……」

遠く何処かを見つめるカービィと苦笑を浮かべて返すリンク。

いや目的はもちろん変わらず部屋の探索なのだがまさか入室の許可を貰って数分としない内に揃いも揃ってヨガをする羽目になるとは思わなかったのだ。

「戻します……次はかんぬきのポーズをやってみましょう!」

このWii Fitトレーナーという女性は例え相手がどうあれ場所も時間も気にも留めず健康であることを第一に指導する妙な癖があるらしい。

「ツボが通る道『経絡』の一つである胆経(たんけい)を刺激し、体側のラインを綺麗にするのがこのポーズです!」

別に悪いことではないのだが……

「あだだっ!」
「効いていますね、その調子!」
「痛いっつってんだろ!」


親切なのやら、お節介なのやら。
 
 
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