第四章



「おお!」

その少女はずいと詰め寄って。

「主らが噂の“ばとれんじゃー”か!」


戦場に舞い踊る光線弾。


一見すると年端もいかぬ子供かのような体型である獣人のシラヌイとモウカは合わせてダックハントと称される裏世界のスペシャリスト。トーナメントでも目にした異様と言わざるを得ない彼らの戦闘スタイルは鮮明に覚えている。

「部屋の中を拝見しても?」
「よい。ゆっくりするがいいわ」

お言葉に甘えて。まずは簡単に室内を見回してみたが特にこれといっためぼしいものは見当たらない。そういえば彼らは年端もいかぬ子供のような外見に反して実年齢は割と上の方なんだったか。

それも踏まえて改めて見回すと所々その実年齢とやらが家具や置物に趣味として滲み出ているのだから面白い。

「これ!」

リンクが棚に飾られた銃器に気になって手を伸ばしたその瞬間、ぴしゃりと。

「素人が易々と触っちゃいかん!」
「す、すみません」
「モウカ殿。数々の悪を打ち滅ぼしてきた正義のヒーローである彼らを素人とは少し当たりが厳しいのではないか?」
「何を言っておるのじゃ」

シラヌイとモウカは揃って疑問符。

「それは作中での設定じゃろう」
「わーっ!?」
「役に沿った演技じゃないのか」
「ぎゃー!?」

……大人になるって辛い。
 
 
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