第四章
……つい、取り乱してしまった。
この真の姿が人目に触れないよういつも細心の注意を払ってきたはずなのに突然訪れるものだから。いや。時期的に見てあの日が今日だったということか。
運命の日までそう遠くはない。けどそれでもまだ警戒に値しない。そんな甘い考えに神経を溶かされていたからこそ今回のような油断が生じてしまった。
これでは変わらない……同じ運命を辿るばかりだ。
もっとしっかりしなければ。
だからこそ。
……教えなくては。
「……!」
扉を開いてすぐ迎えたのは目的の人物と大きく異なる金色の髪の女性。
「どうかしましたか、ルキナ」
「ロゼッタさん」
思わず呆気にとられたがそうして迎えた彼女の隙間から室内を盗み見た。不審な点は窺えない。
「……あの」
ルキナはおずおずと。
「人を見かけませんでしたか」
「私はずっとチコと此処にいました……どういった人なのですか?」
力になりますといった具合に真っ直ぐ此方を見つめてきたが見当違い。ルキナは諦めたようにふっと目を逸らして。
「いえ……ごめんなさい、失礼します」