第四章
「純情だねぇ」
パックマンは振り返って。
「……何歳?」
彼から借りたハンカチを小鼻にあてがいながらマリオの肩を借りつつその後ろをついて歩くのはマルスである。
自分が自分で情けない。ちょっと女性の裸を見たくらいで。まさかそこまで女性に対する耐性というか免疫力というか、そういったものが無いものだとは微塵も思わなかった。
「に、にじゅう……」
情けない鼻声で言い切らない内に。
「そんな時期あったなー」
何歳だこいつ。
「……ま。正義のヒーローって立場上、恋愛禁止だったってことだろ?」
パックマンは小さく息を吐き出す。
「やだなー。しょうがないって分かってても有名人にはそういうイメージが付き物だしパックマンもそうなるのかなー」
知った話かそんなこと。屈辱に苛立ちを抱き始めている様子を感じ取って傍らのマリオはやれやれと溜め息を吐く。
と。目的地に辿り着いたのか部屋の前で足を止めるとパックマンは扉を叩き中にいるであろう人物に呼びかけた。
「ドクター!」
またどんな役職か丸分かりなネーミングだな……
「見てほしい人がいるんだけど!」
「今は手が離せないんだ。入ってくれ」