第四章
何を言って、いや。
……何を考えているんだろう……?
立ち位置からして会話は聞こえる範囲内だろうがロックマンは特に気にしたような素振りを見せない。彼のような生真面目な人柄であれば隊員の悩み事くらい、一片たりとも見逃さないはずだが。
「清潔感があり好印象ですが女性の部屋のようで落ち着きませんねぇ」
不意にリンクがこぼした。
「それは失礼。……パックマン。あまり匂いの強い消臭剤は置くなよ」
「トイレかよ!」
すかさずパックマンが突っ込む。
「消臭剤じゃないし! アロマだし!」
「違うのか?」
「どっち否定したんだよ」
しかし。こうして眺めているとエリート気質である彼も要所要所が鈍く作られているんだな。天は二物を与えずとはよく言うが彼の場合はロボットだったか。
「……?」
ふと視線を遣った先ではリンクが人差し指の背を顎に添えて口を結んでいる。
確定事項ではないが彼があの仕草をする時大抵は自身では解決しきれない問題、もしくは引っ掛かることがあるといったサインなのだが。
「次の部屋を案内しようか」
カービィは開きかけた口を閉ざす。
「……バトレンジャー殿」