第四章
さっきの今で流石に部屋の探索も躊躇というものが生まれてくる。あれがただの平々凡々な日常的会話であれば幸いだが此方の判断ではどうとも言えない。
……それにしても。
「気になる?」
視線の先にある棚の一段目から二段目にはメイクやダイエットの術を綴ったエッセイや雑誌が並べられている。三段目や四段目は特に繰り返し読んで参考にしているであろうそれらが分かりやすいよう表紙を表にした状態で飾られていて。
「パックマン知ってるよ。世間じゃこういうの女子力って言うんだろ」
「……そうなんだ」
至極興味が無さそうな反応のカービィに構わずその視線の先を遮るように視界にひょいと飛び込んで。
「どう思う?」
カービィは顔を顰める。
「女子も男子も関係ないよ」
にやにやしながら。
「これはただの努力だよ」
ああ。成る程。
彼がどうしてそう憎らしいような笑みを浮かべながら言うのか知れないが確かにその通りかもしれないな。
「でもさ」
切り出した言葉にカービィは思わず肩を小さく跳ねる。
「もっともっと先の未来を知っていたとしたら」
パックマンは笑みを絶やさずに。
「努力って言えたのかなぁ」