第四章
「ペースが落ちているぞ、マック!」
その覇気のある男の声は扉を開く前から通路にまでよく聞こえていて。
「……此方は?」
「リトル・マックの部屋だ」
地のつく戦場の支配者。
そういえば少し前のトーナメントでは同じチームのシュルクと一緒に二回戦まで勝ち進んでいたな。
一回戦で当たったロイ曰く地上でのあの速さから繰り出される拳と追撃を許さぬカウンター、怯まぬスーパーアーマーは溜まったものじゃなかった様子。加えて一定の攻撃を与えるか受けるかでどんなシールドも突破する超破壊力の一撃まで繰り出すのだから……
「トレーナーのドック・ルイスならともかくマックの方は気が短いのでな」
ま、仮に戦うことになっても空中主体で戦うから僕には関係ないけど。
「次の部屋を案内しよう」
ロックマンが扉を軽く叩くと直ぐにその部屋の主が扉を開いて顔を出した。
「バトレンジャーだ!」
闘志満々、未来の大魔王。
と。称されることから察しがつくだろうが赤茶色の髪に褐色肌のこの子供はかの大魔王クッパの実の息子である。
「邪魔をしたか?」
窓際にある勉強机の上には学校のものと思われる教科書やノートが折り目を付けて広げられていた。ロックマンが訊くとジュニアは慌てたように立ち塞がって。
「気にしなくていいぞ!」
……落書きしてたんだろうな。