第四章
自由に嗅ぎ回れないというのは少し窮屈な気もしたがリンクにとってそもそもの狙いが現状況そのものだったのだろう。
「レイアーゼ防衛機関管理下。第四正義部隊『フォーエス部隊』」
通路を歩きながら。
「正式な名称をご存知で」
「噂はかねがね」
「あなた方にそう言っていただけるとはまさしく光栄の至りだな」
なんだこの会話は。
「さて。まずは此方からご案内しよう」
真っ直ぐな通路の一番奥まで行き着いてロックマンは向かって左に置かれた扉を迷いなく開いた。
「……改めて」
部屋の先をゆっくりと数歩進んでロックマンは振り向き微笑する。
「『フォーエス部隊』リーダーを務めるロックマンだ」
完全無欠の絶対正義。
通されたその部屋こそ紛うことなき彼の自室なのだろう(そうでなければこうも堂々と通さないだろうなどと突っ込みはさておき)。向かって正面、陽の光が射し込む窓際には厚みのある椅子とどっしりとした構えのオーク色の両袖デスク。
机の上にあるのはノートパソコンと書類らしき紙が綺麗に積まれている。視線に気付いて片そうとロックマンが進み出た隙見渡す。他には、ローテーブルを挟むようにして黒ソファーが二つ。
観葉植物、よく分からない絵画が二点と彼の寝床が見当たらない。