第四章
どうしたものかといった具合に振り向く彼はこちら側からはとても困ったようには見受けられず、そのように受け取られる仕草を見せただけのようだった。その背を見つめてロックマンは口を開く。
「……せっかくの客人だ。大事な時間を持て余させるわけにはいかないな」
リンクは振り向く。
「況してその客人は世界的に有名な超が付く人気ヒーローバトレンジャー殿」
その時、確かに窺えた。
「良い時間潰しになるのか知れないが」
薄く浮かべた密かな笑みは。
「よければ我がフォーエス部隊の寮内を案内させてはくれないだろうか?」
――掛かった。
「よろしいのですか?」
嬉々とした様子で言葉を返す彼に三人もようやくその意図を掴めた。
闘う者ほど強豪を目にすれば己が力量を試したくなるのと同じように。
――正義には正義を。そう考える彼らが乗らないはずもなかった。
「といってもあるのは部隊に所属する各隊員の部屋だけだが……」
「いえ、是非。興味があります」
この機会を見逃す手はない。
「お願いしてよろしいでしょうか?」
欺いて暴く。
「喜んでお引き受けしよう」
はたして鬼が出るか。蛇が出るか――