第四章
誰の依頼でもない。個人的な理由で潜入調査を行なったとしてその事実が彼らに知れたらどんな心境だろう。
その結果は言わずとも。
「だからこそ。今回のことを気付かれるわけにはいかない」
「あのなぁ」
マリオは呆れたように。
「気持ちは分かるがなんでまたコスプレなんだ。しかもまた懐かしいものを」
白を基調にそれぞれの名前に合った色のラインが入ったスーツ。ブーツ、肘丈のグローブ。
コードレスのヘッドフォンにはちょうど両目をすっぽりと覆うほどの四角い黒のアイガードが取り付けられており、こればかりはどういった造りなのかヘッドフォンの向かって左の耳当てに付いているボタンを押すと収納が可能。
……とまあ、この格好。
地上界にある小さな町ラグナ発祥の今や世界中に名を知らしめ愛される、超人気ヒーローのその姿なのだ。
「木を隠すなら森の中。正義を隠すなら正義の中ってことだよレッド?」
カービィは人差し指を立ててウインク。
「早い話が保険です。正義に拘る彼らが世界的に有名な正義のヒーローの正体を暴こうなんて真似はしないでしょうし」
「……そういうもんか?」
「いわゆるご都合主義ってやつ。それに面白そうじゃない?」
名付けて――カービィは何処とも知れぬ虚空を勢いよく指差しながら。
「第伍話。潜入、第四正義部隊の謎!」
言い終えて振り返る。
「ってな感じで!」
「ここでタイトルを回収しましたか」
「どうでもいいけど余計な混乱招くから肆話(よんわ)の方が良かったんじゃ」
マルスは呆れた顔で溜め息。