第四章
胸の内で心臓が静かに鼓動を打つ。
マリオは司令塔を見上げた。
「……、フォーエス部隊……」
第四正義部隊『フォーエス部隊』が結成されて早一ヶ月。数週間前の第一級任務移行後の指揮を急遽ロックマンが取って解決したとだけあって、部隊はみるみる内に名を広め功績を挙げていった。
先輩部隊としてこれほど喜ばしいことはない。……ただひとつだけ。
彼らが何を考えているのか分からない。
まだ真新しいばかりの部隊なのだからそれも仕方ないのだろう、けれど自分たちだってあの数週間前のトーナメントでの一件を忘れたわけではないのだ。
……俺たちは同じ正義を共にする。
立派な仲間じゃないか。
本当に? 彼らは本当に自分たちのことをそう思っているのだろうか――?
「それにしても意外だね?」
カービィはにやりと笑って振り返る。
「正式な依頼でも何でもない今回の潜入調査を提案したのが、あいつらを誰より気にかけていたあんたなんだから」
「それは言わない約束だよ」
構わず歩きながら素っ気なく返したのは白基調に青ラインの衣装の男、マルス。
「……本当はこんなことしたくないさ」
「望まず悪の側についた敵キャラクターみたいな台詞だね?」
くすくすと笑うカービィにひと睨み。
「冗談だって……」
「お前みたいな性悪でも正義のヒーローだってんだから世も末だよなぁ」
マリオはやれやれと溜め息。