第四章



……。

「よしじゃあ行こうか」
「さっさと終わらせて引き上げるよ」
「帰りにケーキを買いたいですね」
「おいちょっと待て」

熱い演技とは裏腹にスイッチを切り替えて早足で先を歩き出す三人を呼び止めたのは白基調に赤ラインの衣装の男。

「何だこれは」
「スペシャル戦隊バトレンジャーだよ」
「第二シーズンになって登場時の台詞が追加されたけど演出も進化したよね」

白基調に緑のラインの衣装の男は人差し指を立てて。

「ちなみにイエローは秘密結社『ダークハンズ』の主将との戦いの中で命を落としました」
「妙にリアルだな!」
「第二シーズンはその戦いから十数年後という設定なのでグリーンが成長を」
「そうじゃなくて!」

白基調に赤ラインの衣装の男は叫ぶ。

「なんで! 潜入調査をするだけなのに揃いも揃ってコスプレなんかしなくちゃいけないんだよ――!?」


此処はレイアーゼ中央司令塔。

……の近辺、植え込み。

「いや」

白基調にピンクのラインの衣装の女――と思いきやその正体はカービィ。

「だってそれ一人だけコスプレしてたらおかしいっしょ」
「コスプレしてる方がおかしいだろ!」

先程から抗議する白基調に赤ラインの衣装の男マリオをまあまあ、と宥めるのは白基調に緑のラインの衣装の男リンク。

「とりあえず落ち着いてください。潜入調査をする上で目立ちたくありません」
「こんな格好させておいてどの口が」
「……それに」

リンクは静かに視線を上げる。

「ただの潜入調査ではありませんから」
 
 
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