第三章
……今の揺れは。
「あいつらこんな武器まで隠してやがったのか!」
ファルコは分が悪そうに顔顰める。
「今のでだいぶやられたのう」
「これだから最近の若いもんは」
……砂塵が室内を満たして視界が悪い。鉄の匂いが空気を更に濁す。
「馬鹿」
こんなことしてる場合じゃないのに。
「来るぞ!」
フォックスが叫ぶ。ルフレは伏していた視線をきっと上げて構えた。
息を切らしながら肩に腕を回した一方を連れて充満する黒煙の中を抜ける。
「すまない……ルーティ……」
「……凄かったけど」
はあっと息を吐き出して。
「やり過ぎだよ」
二級までなら魔法も魔道書無しで扱えるのだと説明を受けたばかりだ。なのにそれ以上というか最上級の魔法をあの場で繰り出すなんてなんという記憶力、魔力量なんだろう。けれど残念ながらこの状況は褒めてやるべきではないし寧ろ。
「次も同じ部屋だったらどうする?」
「……それは言わないでくれ」
「死ぬかと思ったよ」
次の階段に差し掛かる前にマークはルーティから離れた。
「大丈夫?」
「そこまで迷惑はかけられないさ」
小さく咳き込んで階段を見上げる。
「……行こう」