第三章
靴音が響く。潜めるべきなのだろうが、レイアーゼ警官隊指揮隊長でもあるグラヴァスを迷わず撃った連中だ。……意に沿わなければ平気で殺れるのだろう。
「っ、ルーティ!」
U字型の階段を上りきって次のフロアに足を踏み入れたその刹那。
呼ぶ声に咄嗟に横に飛び込むと反してマークは反対側へ。直後に撃ち込まれたのは火炎を纏った砲丸。次の一撃を撃ち込もうと砲台がゆっくりとルーティを振り向く。けれど砲撃を許すより早く激しい稲光が二度三度砲台を貫いて阻止。
「マーク!」
次いでルーティが声を上げた。
天井から管を引いて垂れるカメラがちょうどそちらを振り返り捉えたのだ。途端頭の赤いランプが点滅を起こして続け様下部が開いて小型の機銃が顔を出す。
成る程。此処はただのフロアではなく。
侵入者を即座に感知し迎え撃つ超反応のセキュリティが働く防衛エリア――!
「くっ」
となれば大体のことは読めた。
「マーク!」
突き出した手のひらの正面に金色の魔法陣を浮かび上がらせて機銃による猛攻を押しとどめる彼に向かって叫ぶ。
「まともに相手しちゃ駄目だ!」
言っている間にぞろぞろと。
「僕が突破口を作るからその隙にっ」
「――古より呼び給う」
魔法陣に真紅の光が迸る。
「毀せ! ボルガノン!」