第一章
ルーティはきょとんとした。
「僕のこと知ってるの?」
するとロックマンは逆に目を丸くして、
「ふはっ」
失笑。
「参ったな。本人に自覚がないとは」
「有名人に決まってるだろう。第一お前は世界を救ったラディスの息子なんだぞ。加えてお前自身も一年前に亜空軍の侵攻を食い止めている……」
ルーティは慌てた。
「でっでもそれは公にはしていないはずじゃ」
「人々が知らずとも戦士たちの間では専らの評判で憧れの的だよ」
そうだったのか……知ると今更ながら恥ずかしくなってきた。
好奇の目ばかりじゃない。周りはそういう意味で視線を向けていたんだな。
「本当に。貴方のお父さんは素晴らしい人だ」
そう話しつつロックマンはワインをひと口飲んだ。
「己の信じた正義を最期まで貫き通し、自分以外の全てを守った」
釣られて、視線をそのままにルーティはグラスに口を付ける。
「いつかあの人を超える功績を残したい」
ロックマンは目を細めた。
「……そう思うよ」