第三章
靴音が響く。距離が縮まる。ルーティがある地点に差し掛かったその時。
「――ッッ!」
鋭い痛みと同時に視界が暗転した。
ルーティに対して武器の有無をしなかったがやはり能力を知っていてのことか。首後ろにスタンガンを当てられて一瞬にして意識を奪われ倒れかかるルーティを内一人の大柄の男が受け止めた。
そのまま肩に担いで、ルフレを捕らえている男が顎をしゃくると大柄の男は頷き足早に武器を捨てて無防備であるフォックス達の側を抜けた。次いで、ルフレを捕らえている男が抜けるのを見送って。
「お前たちはここでサヨナラだ」
残った男たちが一斉に銃を構えた。
「……随分な自信だな」
ロックマンは短く息を吐く。
「この状況を打開できるとでも?」
靴音は既に聞こえない。
「いくらでも」
「抜かせ。俺たちに手を出せば罪を問われる。仲間を討った極悪人としてな」
未だ任務の移動は為されていない。自己判断で手を下したところで彼らにも此方を貶める宛てといったものがあるのだろう。故の余裕なのだとしたら打開策は。
「……仲間?」
その瞬間。
空気の色が冷たく変わった。
「寸分前はそうだったかもしれないな」
ロックマンはくすくすと。
「何がおかしい!」
ゆっくりと視線をもたげる。
「極悪人などではないさ」
口元に笑み。
「俺たちは正義だ」