第三章
……スピカ。
「知り合いかい?」
最後まで他と異なる名残惜しそうな視線を残しつつ立ち去ったルーティをロックマンがその時ばかりは気付かずに見逃すというはずもなかった。
「……えっと」
「ライバルみたいなものさ」
視線を合わせられず狼狽えるルーティの代わりにフォックスが答えてくれた。
「だが彼らはダークシャドウ。亜空軍に属する悪の側だろう」
「まあな。でも悪が全てじゃない」
ルーティは小さく安堵の息をつく。
「……分からないな」
その時。ロックマンが表情に冷たく影を落とすのを見た。
「着くぞ」
ウルフが口を開いた。
目的地に辿り着いたのは程なくのこと。
「すみません!」
人だかり。一般市民が立ち入らないよう警備する他の部隊の中にビルを見据えるグラヴァスの姿を見つけるとルーティは急いで駆けつけて。
「X部隊只今到着しました!」
「同じくフォーエス部隊到着しました」
グラヴァスは振り返る。
「来てくれたか」
「はい。……状況は」
聞くと眉をひそめてビルに向き直り。
「既に怪我人が複数出ている」
ルーティはぎくりとした。
「奴らめ。武器を予めそこのビルの中に隠していたらしい」