第三章
「――通達!」
びりびりと耳を衝く声は無線から。
「レイアーゼ都内中央街二番通りでデモ団体と接触した!」
目を開く。
「尚、デモ団体は此方の要望を受け入れず攻撃の意思を示し発砲。その後人質を取ってビルに立て篭もった模様!」
「んなっ……」
ファルコが声を洩らした。
「まさかとは思うが」
「通行人という可能性もあるわね」
事態は一刻を争う。
と。不意に影の少女の体がどろりと溶けるように崩れ黒い霧状の姿に変わったかと思うとぐるぐると螺旋状に巻きながら昇っていき、スピカとダークシャドウのいるビルの上に辿り着くとまた同じ少女の形を成して降り立った。
「忙しいんだろう」
スピカは見下す。
「だ……ダークピカチュウ!」
呼ぶと目を細めて。
「互いに万全の状態で挑もう」
口を開く。
「それまではこの勝負、預けておく」
言葉を終えるとダークウルフが後方の虚空に向かって銃を撃ち、そこがぽっかりと穴を開いたかと思うと不気味に広がる紫の世界、亜空間への道を作り出した。彼らが撤退するのを最後まで見守る間もなくロックマンは肩を叩いて。
「……俺たちも急ごう」