第一章
「ルーティ」
膨れっ面で振り返ったがその声の主を見るとはっと元の顔に戻った。
「司令官」
「私はこれから他国との会合があるのでね。抜ける前に挨拶でもと思った次第だ」
うわ、なんて恐れ多い。
「おっお心遣い感謝します」
ルーティは吃りながらもぺこりと頭を下げた。
「それから」
司令官は視線を後ろに遣りつつ左へ退く。
……少しだけ目を丸くした。司令官の後ろから現れたのは先程の少年、ロックマンだったのである。
「君にとっては初めての後輩といったところだ。色々教えてやってほしい」
ロックマンは紹介を受けてにこりと笑った。
「初めまして。……X部隊リーダー」
堅苦しい呼び方に釣られて身が硬くなるのを感じた。
「は、初めまして」
「成人していないとは驚いたな。けれど逆に親近感がわいた。安心したよ」
ロックマンはそう話しながら近寄って、もはやただのオブジェとなりつつあるルーティのグラスに己のグラスをかちんと合わせる。
「貴方とは一度、話してみたかった」