第三章
呟いたその人の足下に赤い魔法陣がぼうっと浮かび上がる。ローブが靡く。
「猛る炎よ、獲物を穿て!」
力強く手を払い突き出して叫ぶ。
「ギガファイアー!」
刹那――手のひらの正面に彼の足下に浮かんだそれと同じ文字記号が綴られた赤の魔法陣が浮かび上がり、赤々と燃ゆる灼熱の炎が放たれた。それ見たことかとダークフォックスとダークファルコは視線を交えると腰に備え付けられた装置に触れ、赤い六角の反射板を己らの正面に発生させ冷静に対処を為して。
「ぬるいですねぇ」
ダークファルコは笑みを浮かべた。
が。次の瞬間。
「なっ」
炎の猛攻が途切れたと同時中から現れたのはその妹。火傷ひとつ負っていない此方を鋭く見据えて剣を構える様に呆気にとられる。一体どうやってここまで無傷で接近したのか知る由もなく剣は閃光を跳ねながら鳴き声を上げ、そして。
薙ぎ払われる。
「……!」
甲高い金属音がそれを妨げた。
ぎりぎりと空中で押し合ったがそれも不利と見てルフレは悔しそうに奥歯を噛み締めると剣を払って空中で後転、着地。
同じく剣で対抗したその人も対象が離れると距離を置いて地面に降り立った。
その姿に。
ルフレははっと目を開く。