第三章
……どうするも何も。
リーダーと呼ばれた少年は静かに伏せていた視線を持ち上げた。彼らを包み込み位置を正しく掴ませない砂塵は未だ空気中を漂っている。位置を正しく把握できていないのはあちらも同じこと。
……いや。
そう思わせようとしている。
「どうしたんスか?」
軽薄な口調の男は怪訝そうに振り返る。
「リーダー?」
「下がっていろ」
少年の頬を黒い閃光が跳ねる。
「え?」
次の瞬間。
砂塵を突き破り、吹き飛ばして地上から放たれたのは青いエネルギー砲。肉眼で見てそれから躱すのではとても間に合わない速度で接近してくるそれを誰よりも冷静に少年は右手を差し向けると。
指を、鳴らして。
刹那少年の体の表面をばちばちと鳴いて駆け回り右腕を伝って打ち出されたのは黒い雷の柱。それは歪にうねりながら鳴き声を上げながら向かって正面エネルギー砲を迎え撃つ。二つはぎりぎりと押し合った後引き金を引いたかのように。
凄まじい爆音を響かせ――爆発。
「やったか?」
ようやく砂塵が晴れるとファルコは腕で鼻と口を庇いつつ、敵が存在するビルを見上げてお決まりの台詞をこぼした。
「いや」
ロックマンは構えた腕を下ろして。
静かに目を細める。