第一章
近付いてきたのはグレーの色をした長髪の男。
何を隠そう、彼は特務精鋭機関『D.H』の隊長なのだ。
「久しぶりだな。上手くやってるか?」
「はい――失敗もまだ少しありますけど」
「結構結構。お前は若いんだから沢山学びなさい」
この人は同じ森林都市メヌエルの出身で小さい頃から良くしてもらっていた。
驚くことに十五年前、父のラディス率いる『DX部隊』と手を組んであのマスタークレイジーに立ち向かったこともあるんだとか。それ以外の場面でも、父さんとは頻繁に仕事を共にしたり酒を酌み交わしたりエトセトラ。
兎にも角にも、親子共々お世話になった人なのだ。
「ほう。お前がこの子のパートナーか」
アレスレッドの目がウルフに留まった。
「どうだ。ルーティは」
何か余計なことを言い出すんじゃあるまいな。ルーティは慌てて視線を送る。
「……別に」
心配するまでもなく、ウルフはそっけない返事だった。
「問題がありすぎて口が足りねえくらいだ」
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、うげっと洩らして思わず二度見。
アレスレッドは笑って、
「そんなことだろうと思った。何せあいつの息子だからな」
……ぐぬぬ。